手打ち蕎麦・のし論 Ⅱ

そば打ち全般について云えることですが、上達への近道といったたぐいのことは、あまり無いようです。遠回りしないように、各々の技術を磨いて行くということが、コツのすべてといえます。
ノシを遠回りしないということは、どういうことでしょう。皆さんは、のした結果をどのようにチェックしていますか。遠回りしないために、のした結果を即座に手のひらでなでて厚みとムラをチェックしてください。そして、そこで得た情報を頭の中にインプットしておき、麺棒を使う強さと方向を決めるために役立てて下さい。
厚みのチェックは、狭い範囲に触れてみるだけでは不十分で、手のひら全体を使って今のしたところ全部に触ってみるくらいのつもりで、大きく大きくチェックしてください。ノシの厚みをチェックする際、専用のゲージがあるそうで「蕎麦厚みゲージ」を利用して、のし上がりの厚みをチェックします。それを実践する「築地そばアカデミー」で蕎麦を習う人は、はじめてであっても、まずまずの結果を得ているようです。
ここまで、ノシの概念を述べましたが、次はノシの具体的な方法について、少しだけ触れます。まず最初に、用意した玉(でっち玉といいます)を手のひらで均等につぶします。このプロセスを「つぶし」とか「地のし」とよびます。何気なくやっているように見えて、実は、このプロセスがすべてののしの中で一番重要なのです。外形が多少丸くならなくても結構ですから、ひたすら同じ厚みにするよう仕上げてください。
次に、麺棒(のし棒)を使ってぐいぐい力をこめてのす丸出しです。ここは、外形は多少ラフでもいいですから、とにかくできるだけ早く二回りほど大きな円にします。
このときも、可能な限り厚みを整えるようにするのがコツです。さらに、麺棒の力を抜いて、なめらかに動かしながら、外周の丸みを整えると同時に、全体の厚みをより正確に整える「平のし」を行います。このあと、丸から四角へと形を変化させる「四つ出し」を行い幅を整える「幅だし・肉分け」を経て、均一の麺を切るために、すべてを同じ厚みに整える「本のし」へと進んでいきます。要するに、のしのすべてのプロセスにおいて、「厚みを一旦均一にしてから先に進む」という原則を繰り返しているわけです。ノシがうまくいっていない人は、例外なくのしの途中で厚みが均一になっていないのに、先のプロセスへと進んでいってしまう方です。本当にちょっとしたことなのですが、「すべてのプロセスで厚みを均一にする」という則原則さえ守れれば、見違えるようなノシあがりになりますので、ぜひともお試しください。

最終更新日:2012年12月10日

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